金融腐蝕列島(上)/高杉良
「どうかおゆるしください。これをいただいたら、わたしは組織人としてもバンカーとしても失格です。なんと言われましても、先生に出入り禁止だと言われましても、お受けするわけにはまいりません。どうかわたしの立場をご賢察ください」
「おまえ、わしに恥をかかせる気か。一度出したものを元へ戻せると思ってるのか」
「申し訳ありません」
「ふざけるな! 舐なめた真似をすると承知せんぞ!」
竹中は耳を押さえたくなった。
今、金融機関の人事コンサルを行っているため、そのこととの関連で読んでみた。
バブル期の銀行は多くの不正融資に手を染める。
その後始末のために奔走する中堅銀行マン竹中を描いている。
上記はその中で、大物フィクサーから年始のマージャンに誘われ、その帰りがけ、百万の封筒を渡されそうになった場面。
これを受け取るのは、当然、コンプライアンス違反である。
しかし、相手が相手だけに、断るのは勇気のいること。
そして事実、多くの銀行マンが自分の懐に入れていたのであろう。
そして受け取ったが最後、ズブズブの関係になってしまう。
これは小説なので断ったことになっているが、バブル期はこのような行為が横行していたのではないだろうか。
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