ミッドウェー海戦 第二部 運命の日/森史朗
赤城の錨甲板に引き返すと、支柱にロープで身体を縛りつけた青木艦長が一人で立っていた。三浦と増田の二人が交互に説得に当たった。
「艦長、いまここで死ねばあなたは軍神ですが、それでは誠のご奉公にはなりません。それよりも生き残って、これからはつぎの若い世代を育てねばなりません。指導者が死んでしまえば、だれが若い人を導いてくれるのですか」
赤城の青木艦長は艦と運命を共にした。
日本人のメンタリティーでは、これを潔いと受け止める。
しかし、これで本当に責任を取ったことになるのだろうか。
本当に責任をとる行為とは、死ぬことではなく生き続けることではないだろうか。
生きつづけ、二度と同じ失敗を繰り返さないために、敗因分析をし、対策を立てること。
これが本当の責任の取り方ではなかろうか。
もちろん、セウォル号の船長のように乗客を置き去りにして真っ先に逃げるなど論外なのだが。
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