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2015年1月11日 (日)

新・金融腐蝕列島 混沌(上)/高杉良

Photo_2「もし、協銀が合併方式を強引に押しつけてきたら降りる、と言ったのは威しでもなければ、ハッタリでもないと思います。保田のことですから、もう次のアライアンスを考えてるかもしれませんよ。協銀の大手行意識は気になる。強引にあとから割り込んでおきながら、弱者連合の東亜・あけぼのを救済してやる、という考えがちらっとでもあったら、三行統合は壊れる。少なくともあけぼのは間違いなく降りる、と言い切ってました」
 阿川が険のある三白眼で、竹中を見た。竹中は背筋がぞくっとなって、目を逸らした。
「竹中は、保田の話を丸吞みして、危機感に駆られてるようだが、あけぼのと組む相手がいるとは思えんな。結果的に救済合併になるんじゃないかと、わたしも考えんでもない。森山と宮田には、あからさまにそれを出さないように注意しといたが、竹中に対する保田の態度は個人的な感情論に過ぎんのじゃないか。遠からず、はっきりするよ」
 そうだろうか。阿川は、初心を忘れている。
 東亜とあけぼのにアプローチしたときの必死さは影をひそめ、大手行意識が頭をもたげてきた。

この「混沌編」では、銀行同士の合併をめぐるせめぎ合いが描かれている。

この当時、多くの銀行が合併・統合相手探しに奔走した。

一行だけでは生き残れないという背景があったのであろうが、当事者はどんな思いでいたのだろうか。

そもそも規模も風土も違う銀行が一緒になることがスムーズにいくとは考えにくい。

それぞれの銀行の誰がどのポストに就くのか、

そもそも誰が合併後、トップに就くのか。

多くの場合、たすき掛け人事が行われるわけだが、それとてもうまくいくことは稀。

やはり人に感情がある以上、感情的なしこりは必ず残る。

エゴ、野心、歪んだプライド、そして保身。

三行の銀行マンたちが牙を剥きだす。

だからこそ小説の題材としてはもってこいなのかもしれないが、実際にその場に置かれた当事者は大変な思いをしていたのではないだろうか。

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