ドキュメント パナソニック人事抗争史/岩瀬達哉
元松下電器の上席役員のひとりが、いかにも寂しげに語っていた。
「要するに、時代に対応できるトップを選べなかった時期があったということでしょう。社長になる人ですからね、それなりの見識が備わっているというのが前提の話。だけど、それがなかったらどうしようもない。彼らを選んだ時はベストだと思っていたんですから、松下電器には、そんな力しかなかったんでしょうな」
日本を代表する企業として隆盛を極め、長く世界のトップブランドとして君臨してきたパナソニック(松下電器産業)。
しかし、パナソニックは創業者松下幸之助亡き後、長い間経営不振を続けた。
何が起こっていたのか?
本書はこのことを人事抗争という側面から記している。
そしてわかったことは、経営の迷走の原因は人事の迷走にあったということ。
「何が正しいか」ではなく「誰が正しいか」を重視する風潮の蔓延。
人事も「秀でた仕事をする可能性」ではなく、「好きな人間は誰か」「好ましいか」によって決定するようになる。
これらが経営をおかしくした。
「たかが人事、されど人事」ということであろう。
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