今日、ホームレスになった/増田明利
こうなった原因ですか?……井のなかの蛙というか、自分の力を過信していたんだね。早い話が大企業病から抜け出せなかったんです。そういうことだよ。
本書は様々なホームレスのルポルタージュである。
彼らの前職を調べてみると、正社員、会社経営者、自営業者の合計が全体の約半数に達し、リストラや倒産で転落する中高年が激増しているという。
中でも、大企業の元エリートサラリーマンが多いことに驚かされる。
年収1千万以上だった彼らがなぜホームレスになってしまったのか?
一つは自分の実力を過信してしまっていたこと。
大企業の看板で仕事をしている人は、いつしか自分の力を過信するようになる。
そして、会社を辞めても引く手あまただと錯覚する。
しかし、大企業をやめて同じ年収の仕事を探してもまず無理。
大抵の場合、年収は下がる。
その上、転職先では自分が思っていたほど評価されない。
それを我慢できれば良いのだが、まだプライドだけは残っているため、転職先でもうまくいかなくなる。
挙句の果て、ホームレスに転落する。
こんな流れである。
著者は「絶対会社を辞めちゃダメだ!」という。
サラリーマンほど楽な稼業はないのだから。
« スルーされない技術/石田章洋 | トップページ | 秘密な事情/清水一行 »
コメント