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2015年6月 8日 (月)

日本はなぜ敗れるのか/山本七平

Photo 戦後は「自由がありすぎる」などという。御冗談を!どこに自由と、それに基づく自由思考と、それを多人数に行う自由な談論があるのか、それがないことは、一言でいえば、「日本にはまだ自由はない」ということであり、日本軍を貫いていたあの力が、未だにわれわれを拘束しているということである。

著者によると、日本人は戦前も戦後もそして現在も「ある力」によって支配されている、という。

戦前は、明治維新前の体制が否定され、徳川期は暗黒時代と定義された。

藤村の小説『夜明け前』の表題は、維新前を「夜明け前」と把握しているわけで、これは当時の人びとが、心底から疑わなかった常識である。

そして明治の〝夜明け〟の思想に基づいて、日本の過去の歴史を、それに適合するように再構成した。

そしてそれを信じないものは非国民だった。

これと全く同じ図式が、終戦とともに起る。

終戦直前は、戦後民主主義の「夜明け前」であり、明治から昭和二十年までは暗黒期になる。

そして、新しいマッカーサーの〝黒船〟とともに夜明けが来ると、以後は、この戦後民主主義の思想に基づいて過去の歴史を再構成してしまう。

そして、これを信じない者は、民族の敵、平和の敵と規定される。

つまり、「ある力」に支配されているということにおいては、現在も全く同じであるということである。

そしてこれが繰り返されている限り、われわれは常に「再構成された過去の虚像」の支配をうけ、その「力」に従うことを強要される、というのである。

何かわかったようでわからない指摘なのだが、確かに核心をついており、非常に考えさせられる。

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