「アジアインフラ投資銀行」の凄惨な末路/宮崎正弘
福澤諭吉は百三十年前に警告した。
悪友とのつきあいを止めようと提唱した「脱亜論」の動機は、朝鮮独立運動を支援する過程で、背後にいる清の抜きがたい華夷秩序という障害、その時代錯誤を目撃し、絶望したからだ。
日本はこうした国々と、まともにつきあってはいけない。「悪友とはおさらばしよう」と福澤諭吉は揚言した。現代に置き換えれば、「中国と韓国にはさようならをいおう」。彼らがもくろむAIIBなんぞ加盟する必要もなく、自滅を眺めていればよい、ということである。
まさに、いまの日本を取り巻く状況とあの時代の環境が似てきた。いまの東アジア情勢は日清戦争前と構造的にはそっくりである。
AIIBについては、日経や朝日等、大手マスコミは「バスに乗り遅れるな」と日本政府の対応を批判した。
しかし、実態を調べてみると、どう考えてもメリットがあるとは考えられない。
また、うまくいくとも考えられない。
中国経済を見るとき、まず問題なのは、公表された数字がほとんどあてにならない、ということ。
だから、その他の指標を参考に判断する以外ない。
例えば中国の外貨準備金は3兆8400ドルあるとされる。
ところが虎の子の米ドルは、高級幹部や国有企業の経営者等によって海外へあらかた持ち出され、加えて無謀な海外投資、プロジェクトへの出資や外国企業の買収などで実質底をついているという。
きちんと分析すれば、うまくいかないと考える方が正しい。
それにしても日本のマスコミは何をみているのだろう?
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