« 日本資本主義の精神/山本七平 | トップページ | 日本型リーダーの条件/山本七平 »

2015年6月 5日 (金)

勤勉の哲学/山本七平

Photo いわば正三は、「働く」ということを、成仏の手段とした。これは決して、財の獲得それ自体を目的としたのではなかった。梅岩はこの考え方を消費の方向へと発展させたわけである。元来消費は常に何かの獲得を目的と考えるのが普通であり、彼は一応それを名聞・利欲・色欲とした。これは「働く」も元来は財の獲得を目的としたのと同じである。そして正三がこの「働く」を成仏の手段としたように梅岩もこの「消費」を「正直」に到達する手段とし、その手段として行う消費の方法を倹約と言ったわけである。

日本人はなぜ勤勉なのか?

そこには働くことこそ、人間としての自然の姿があり、働くことは仏教の修行と同じ意味合いがあるとする考え方があった。

そしてその考え方のルーツとして、鈴木正三と石田梅岩という二人の人物を上げている。

すなわち正三の「何の事業も皆仏行なり」で、世俗的行為則宗教的行為として一心不乱に働くことが、即ち修行であるとする考え方。

そしてその上に、梅岩の消費の倫理で倹約という「世俗の中の禁欲」。

これらが日本人の勤勉であることの根本であるとする。

一意専心働くことが、仏行となるから、日本人はひたすら働く。

ただ一心不乱、各々の仕事において、自己の身心を「ひた責に責て」モーレツに働くことは「病」ではなく、こうすれば精神的安定と充足感を得られるから。

この考え方は労働を宗教的救済の方法と見、これに徹する者ほど精神的に健康と規定しているわけで、これが日本人の農業観・労働観・職業観の基礎をなし、同時に日本的資本主義精神の基礎となっている。

この「成仏の方法=仕事」という発想はおそらく日本独特のものであろう。

« 日本資本主義の精神/山本七平 | トップページ | 日本型リーダーの条件/山本七平 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 勤勉の哲学/山本七平:

« 日本資本主義の精神/山本七平 | トップページ | 日本型リーダーの条件/山本七平 »