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2015年6月14日 (日)

ヒトラーの大衆扇動術/許成準

Photo 大衆の意見は中庸を好まない。彼らがついて来るようにするには、均衡のとれた論理より二分法的な論理を使う方が有効だ。中道的な論理は大衆の理性に訴えるのだが、二分法的で極端な論理は大衆の感性に訴えるからだ。

私の印象では、少なくともドイツ人は日本人より理性的に見える。

そのドイツ人がヒトラーにいとも簡単に扇動されてしまった。

何故なのか?

これが本書を読んだ動機である。

読んでみてわかったのは、ヒトラーの演説の特徴は「神秘的な登場」、「分かりやすい内容」、そして「群衆を興奮させる熱狂的なスピーチ」に要約できるということ。

人は誰でも自由意志で行動しているようにみえるが、実は、人間なら共通に持っている心の動きがある。

それは、何か刺激を与えれば誰でも同じように反応するというもの。

例えば、暗い場所で隅から光が差してくれば、人は光の方向に目を向ける。

ヒトラーは、そういう人間の本能的な反応を利用した。

演説する時間と場所にも気を配った。

聴衆の心理的抵抗が最も弱い時間帯、つまり夕暮れ時に演説時間を設定した。

午前中は判断力も鋭いが、半日経って夕方になれば、だんだん鈍くなって心の防御を解き、他人が言うことも素直に聞きいれるようになる。

ヒトラーが演説に夕方の時間帯をよく使ったのは、このような原理を理解していたからだ。

彼は、知的レベルが最も低い人々でも理解できる単純なスローガンが非常に効果的だということを知っていた。

言葉は、繰り返されれば繰り返されるほど人の頭の中に強く刻印される。

圧倒的多数の愚昧な民衆が一方の方向に動くようになれば、知識人もその動きに押し流されるしかないということを彼はよく理解していた。

ヒトラーの演説が効果的だったのは、話す要点をいくつかに絞り、それを大げさなパフォーマンスで繰り返して、大衆の心に刻みつけたからだ。

要点をいくつかに絞って、それを多様な方式で繰り返す。

繰り返しが単調にならないように多様な演出でバリエーションを作る。

と、まあこんな具合で、よくここまで考えたものだ。

ただ問題は、動機が不純だったということである。

そして、やったことは決して許されるものではない。

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