コンテキスト思考/杉野幹人、内藤純
「コンテキスト思考」を身につけることで、他の企業や人が生み出せていない「おもしろい成果」を生み出せると、結果として他者よりも〝一歩先〟に進むことができる。
「コンテキスト思考」とは、「モノゴトの裏にある物理的に認識できない〝コンテキスト〟(背景、前後関係、文脈など)を能動的に洞察する思考法」
これに対して、「音声、文字、数字などの物理的に認識できるものに論理や分析などを加える〝コンテンツ〟ベースの思考法」を「コンテンツ思考」と本書は定義している。
今、「コンテンツ」を重視した欧米流の分析手法が巷にあふれている。
ロジカルシンキングやMBAで学ぶ手法などは全てそうである。
これらはいったん学べば、それを使う誰もが同じ結論を出せる。
逆に言えば、モノゴトを考える際に考えることの効率性を上げるものではあるが、誰もがそれを身につけてしまえば、なんの差別性も生み出すものではないということ。
1980年代までの日本は、長期雇用のもとで「コンテキスト」を無意識的に共有できていた「あ・うんの時代」だった。
これがこの時代の日本企業の強さを支えていた。
つまり、日本は本来持っていた良いものを欧米流の合理的な経営手法によって失ってしまったといえる。
日本人は「空気を読む」という言葉に象徴されるように、コンテキスト思考に優れている。
「行間を読む」などといった言葉も日本独特であろう。
またコンテキスト思考をするためには「ぶれない自分軸」を持つ必要があるという。
このような時代に「おもしろい成果」を生み出すための要件は、数多ある選択肢の中から、常に自分に最も「価値」のあるものを迷うことなくすばやく見極めて選ぶという「ぶれない自分軸」を持つことが必要。
「ぶれない自分軸」があって初めて「面白い成果」を生み出すことができる。
「軸」が大事だということは全てのことにおいて共通することかもしれない。
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