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2015年7月21日 (火)

影の地帯/松本清張

Photo 田代はその紙片に書かれた、走り書きを読んだ。
「あなたは、今の興味から遠ざかってください。でないと危険が及ぶかもわかりません。
       
富士山をのぞいた女
                            カメラマン様」
 田代はどきんとした。
「この紙をくれた人は、どこにいる?」
 顔を上げてきくと、
「はい、その方は」
 喫茶店の女の子は微笑して、
「あっちの入口から出て行かれました」
 と、奥の方へ指をさした。

テレビで本書を原作にしたドラマをやっていたので、読んでみた。

読んでみると、テレビと内容は全く違う。

はっきり言って、小説の方が十倍面白い。

長編だが、最初から最後まで一気に読ませる筆力はさすがである。

中でも、ときどき登場する若い女が謎めいていて魅力的だ。

主人公の田代にある時は警告を発したり、またある時は助け出したり、重要な場面で顔を出す。

このような女は、映像だとそのものずばり顔が出てくるのでかえって神秘性が失われる。

テレビドラマでは矢田亜希子が演じていたが、顔を見た途端、イメージが固まってしまう。

ところが小説だと頭の中で姿かたちを想像するしかない。

そのことがかえって想像力をかきたて女を魅力的にする。

小説を読むことによって「想像力が養われる」という面は確かにあるのではないだろうか。

それが小説を読む効果なのかもしれない。

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