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2015年7月 6日 (月)

翳った旋舞/松本清張

Photo 「三沢君、社長がああおっしゃるのだ。ありがたいことだね」
 と、川北局長のほうは眼を細めている。
 順子は虫酸が走ってきた。
 これまで雲の上の存在と思っていた川北局長が世にもくだらない男に見えてきた。R新聞社で高給を食んでいながら、早くも自己の転身を考えているのである。

松本清張の小説には珍しく人が死なないストーリーとなっている。

主人公は新聞社に入社した新卒新人の女性。

上記抜書きは、彼女が自らの保身を図る上司の振舞を見て、それまで雲の上の存在だった上司が、実にくだらない一人の男に見えてきたというくだり。

こんな体験は誰もがすることではないだろうか。

これまで幻想を抱いていた世の中の様々な事柄のメッキがはがれ、本当のことがわかるようになる。

私自身もこれに似た体験をしたことがある。

でもそれが人の成長だと思う。

「これが現実なんだ」という現実を知ることによって次の一歩を踏み出すことができるようになる。

これを機に主人公は、うぶな世間知らずな娘から、したたかな女へと成長していく。

一人の女性の成長の物語としてこの小説を読んでも面白い。

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