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2015年8月13日 (木)

戦争の条件/藤原帰一

Photo 明石康を事務総長特別代表として国連は平和維持活動を展開したが、米軍という力を背景に持たない国連の活動は失敗せざるを得なかった。ユーゴ戦争の終結は、米軍を含むNATO諸国の軍事介入を待たなければならなかった。

戦争を防ぐにはどうすればよいのか?

本書はそれをケーススタディ形式で問いかけている。

日本人は戦争という言葉そのものをタブー視する傾向がある。

戦争について語ると、好戦論者だと思われてしまう。

しかし、戦争を防ぎたいのであれば、戦争について考え語る必要がある。

なぜなら、戦争は国と国との関係がうまくいかなくなることによって起こるのであって、一国が武力を放棄すれば起こらないというものではないからである。

むしろ、逆に武力を持つことによって戦争を防ぐことができる。

例えば、A国とB国が戦争を起こさない状況は、どのような条件の下で生まれると考えられるか。

これは、本書に出てくる、まさに国際政治学の基本問題、平和の条件そのものの問いである。

第一の立場は、軍事力の均衡のほかに、戦争を起こさない状況などはありえないとするもの。

これは国際政治学におけるリアリズムと呼ばれる立場である。

国家権力の発動を実効的に規制できる主体が存在しない限り、国家間の戦争状態はなくなることがないことになる。

第二の立場は、A国・B国の両国に軍事力の放棄を求めるもの。

国家が軍隊を保持し、互いに戦争の準備を行う限り、戦争の可能性はなくならない。

もしここで戦争を排除しようとするのであれば、軍隊そのものをなくすほかに方法はないではないか。

このような絶対平和主義は、憲法第九条に戦力不保持を謳っていることもあって、大東亜戦争後の日本ではかなりの支持を集めてきた。

だが、軍隊を保持し、しかもそれを駆使する意志を持った国家がひとつでも残された場合にどうすべきかという問いに対して、絶対平和主義は答えることができない。

第三の立場は、戦争を違法化するとともに、戦争を始めた主体に対する制裁を認めるものである。

これが集団的安全保障の観念である。

多くの国はこの立場をとっている。

日本も国としてはこの立場をとっているのだが、国民はなかなかこれを理解しようとしない。

外交交渉も、武力を背景にしたものでなければ、相手の国は応じてくれない。

それは歴史が証明している。

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉がある。

この時期になると、あの戦争の悲惨さがテレビで放映されることが多い。

しかし、それは「経験」である。

もっと、歴史に学ぶ必要があるのではないだろうか。

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