あの戦争と日本人/半藤一利
昭和十六年十月二十六日の東京日日新聞、今の毎日新聞ですが、社説で、「戦わずして日本の国力を消耗せしめるというのが、ルーズヴェルト政権の対日政策、対東亜政策の根幹であると断じて差支えない時期に、今や到達している、とわれわれは見る。日本及び日本国民は、ルーズヴェルト政権のかかる策謀に乗せられてはならない」と煽っています。「早くやれ」ということだねえ(笑)。
あの戦争を始めた原因は何だったのか?
東条英機に代表されるA級戦犯、そして軍部の独走というのが定説になっている。
しかし、本当にそうなのだろうか。
日本は誰か特定の首謀者が意思決定し戦争に突入するという国ではない。
ヒトラーのような強烈なカリスマ性を持ったリーダーが意思決定し、みんながそれに従うということはほとんど起こらない。
なんとなく、そのような雰囲気になって、意思決定者もあいまいなまま、決定するということが多い。
あえて言うならば、「空気」が決めた、といってよい。
そしてそれをつくったのは、当時のマスコミと国民である。
当時のマスコミは、朝日や毎日を始め、全てが好戦的な論調であった。
それによって国民を煽った。
そして、煽られた国民に影響され、マスコミの論調は益々好戦的になる。
この相互作用が政治家を動かした。
それが実際のところだったのではないだろうか。
でも、この国民性、今も全く変わっていない。
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