逆説の日本史〈14〉近世爛熟編/井沢元彦
もともと「労働は神聖なもの」という禅のもたらした文化に、江戸初期の禅僧鈴木正三が「労働は仏行(仏道修行)に等しい」という考え方を加えたのが、日本資本主義の精神の形成につながった。
日本人の勤勉さの源流がここにある。
日本人は剣も茶も華も、そればかりか儒教などでは「賤しい」とされる職業に打ち込むことによっても「悟り」に入れると考えた。
だから、日本には何代にもわたって技を伝える職人や芸人がいる。
例えば、儒教の教えの根強い韓国にはそれがない。
儒教は「労働」を軽し「商売」を「悪」ととらえるからである。
油にまみれて働く職人や芸人は「賤しい」職業だと考える。
多くの韓国人にとって息子を大学に入れて官僚にしたり、やサムスン等の大企業に就職するのが正しい道である。
だから韓国には老舗が無い。
日本では創業100年を超える老舗もある。
この強みにはもっと注目してもよいのではないだろうか。
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