逆説の日本史〈16〉江戸名君編/井沢元彦
江戸時代の日本における識字率は、専門家による様々な推計がある。しかし、男性においては40から60パーセント、女性については15から30パーセント程度というのが、大体の基本線だろう。これも実は大変な数字なのである。
この江戸時代の日本における識字率は当時としては画期的である。
当時、文明国というと東の代表は中国、西の代表はイギリスあるいはフランスである。
まず、中国は漢字という「エリート専用」の文字のみ用い、「ひらがな」「カタカナ」にあたるものがなかった。
当然、庶民の識字率アップなどというのは夢のまた夢である。
では、イギリスはどうか?
イギリスに限らずヨーロッパ諸国では、識字率は日本とは比較にならないほど低かった。
まず、庶民に「本を読む」どころか「文字を読む」習慣というものがなかった。
人間は言葉によって考えるものだ。
そう考えると、鎖国していたにも関わらず、江戸時代の文化が独自の発展を遂げたこともわかるような気がする。
« 逆説の日本史〈15〉近世改革編/井沢元彦 | トップページ | 逆説の日本史〈17〉江戸成熟編/井沢元彦 »
コメント