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2015年11月20日 (金)

誇り/木村元彦

Photo ストイコビッチは試合に負けると悔しくてその夜は眠れない。夜通し、妻のスネジャナにとつとつとその日の出来事を話し、ビデオで試合の模様を何度も繰り返して見る。そうすることでようやく、ささくれ立った気持ちのクーリングダウンが終了し、就寝できるのだ。この日もそうなるだろうと思いながら移動のバスに乗りこんだ。
 ところが、発車してしばらくすると、イビキが聞こえてきた。妖精は驚愕した。日本の選手はこんな状況の中でも平気で眠れてしまうものなのか!サッカーのゲームはストイコビッチにとって人生の再生に等しいという。たとえるなら、90分の間に自らの存在が生まれ、躍動し、眠りにつく、それくらいの思いがある。

Jリーグの草創期、多くの有名外国人選手が各チームで活躍した。

ジーコやリネカー等々である。

ジーコやリネカーが全盛期を既に過ぎいてたのに比べ、ストイコビッチのプレーには光るものがあった。

祖国には内戦のため帰れず、世界各地のクラブチームを渡り歩いていたピクシーが選んだのがJリーグの名古屋グランパスであった。

彼にとってサッカーとは単なるゲームではなく戦いである。

その勝ちにこだわる生き方が、周囲と多くの摩擦を生んだ。

彼にとっては試合に負けても、笑顔で話すチームメートが信じられなかったのであろう。

でも、分かるような気がする。

確かに現役時代のピクシーのプレーには人を感動させる何かがあった。

単に高度な技術を身に付けているということだけではない、魂に訴えかける何かがあるのである。

それと比較すると、確かに今の日本選手にはどうしても物足りなさを感じてしまう。

先日の日本代表の試合にもはっきり言って失望させられた。

勝にこだわる姿勢がプレーに見られず、イライラしてしまう。

ピクシーにあって日本選手にないもの、それが「誇り」なのではないだろうか。

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