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2015年12月31日 (木)

警視庁捜査一課特殊班/毛利文彦

Photo_2 「特殊班の意識が変わってしまった」と感じたのは、失敗という結果に対してではない。直後に失敗の原因を詳しく分析した記事を書いた記者に、特殊班のある捜査員が電話をかけ、こう抗議したというのだ。
 「あんたには武士の情けというものがないのか──」
 このような科白を吐く特殊班捜査員を、私は見たことがない。私の知る特殊班捜査員は、他からの評価には惑わされず、己の職業意識にのみ基づいて行動していた。マスコミに称えられようと、叩かれようと、彼らは自分たちが描く成功のみを頼りにしていた。八つ当たりなど、考えられないことだった。

要は「プロがいなくなった」ということである。

企業恐喝や誘拐事件の時に活動するのが特殊班である。

ところが、今、企業恐喝がほとんどなくなり、特殊班が「本番」に臨む機会は少なくなったという。

重大事件が少なくなったことは良いことなのだが、それを担当する人の技量や意識の低下は懸念される。

個々の捜査員とチームとしての技術、モチベーションの維持は、日々の訓練に頼っているが、容易なことではない。

現場にもまれていない特殊班捜査員の中に、技術よりも大切な「魂・職業意識」を忘れかけた者が出始めているという。

でも、「プロがいなくなった」という現象は捜査班だけでなく、日本のあらゆる職業に共通して言えることなのかもしれない。

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