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2015年12月 2日 (水)

開戦前夜/児島襄

Photo_2 交渉は11月25日まで──という〝マジック〟情報は、米国政府に深刻なショックを与えた。
 ハル国務長官によれば、情報を得たあとの11月7日の定例閣議は「重く沈んだ」雰囲気に支配され、「日本はすでに戦争機械を作動させているはずだ」と長官が述べると、「一瞬、室内は静まりかえった」。
 ルーズベルト大統領は、ハル長官の情勢判断についてひとりずつ閣僚たちの見解を求めたが、全員が同感の意を表明した。
───では、われわれはどうすべきか。
 大統領が質問すると、スチムソン陸軍長官は〝無策の策〟を進言した。
「軍事行動をふくむ現在の政策を維持し、攻撃をふくむすべての決断を日本にまかせるがよいと思います」

開戦前夜、米国の政権内部で何が話し合われ、何が行われていたのか。

日本の暗号は解読され、既に日本が先制攻撃をする情報は得ていた。

後はいかにして先に手を出させるか。

そして、国民の世論をいかに反日に向かわせ、参戦を正当化できるか。

米国の中枢は、この点ではすでに一致していた。

実にしたたかであり、戦略的である。

それに比べ、日本はどうであったろう。

交渉の経緯は日本側の極度の内部不統一を露呈している。

政府に一貫した方針も政策もなく、首相、外相、大使はバラバラに動いている。

結局は米国に思いのままに操縦されたのも無理なかったという気がする。

決して暗号解読というハンディだけではなかった。

組織がダメになるのはいつも内部からである。

これは国であっても企業であっても同じだと思う。

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