脳のワーキングメモリを鍛える!/トレーシー・アロウェイ、ロス・アロウェイ
仕事をつづけていると、ワーキングメモリをシャープに保つことができる。引退すると、職場での日々とは異なり、さまざまな要求に応じる必要がなくなり、生活のペースが落ちる。するとワーキングメモリが難題に直面する機会が減る。こうしてワーキングメモリが怠けはじめ、その状態があまりにも長引くと、必要に応じて覚醒できなくなる。つまり引退は、認知能力にダメージを与えるおそれがあるのだ。
ワーキングメモリとは、情報を処理する能力である。
もっと正確にいえば、意識して情報を処理すること。
意識するとは、その情報を頭のなかに置くことだ。
それに注意を払い、頭のなかでそれにスポットライトをあてて集中したり、その情報に関する決断をくだしたりすることだ。
情報を一時的に保存し、その情報を利用してなんらかの作業をおこなう際、わたしたちは「ワーキングメモリ」と呼ばれる脳の領域を活用する。
それは「短期記憶」とは異なる。
仕事で出会った初対面の相手の名前をしばらく覚えているとしたら、それは「短期記憶」にあたる。
いっぽうワーキングメモリは、その情報を短時間覚えているだけではなく、その情報でなんらかの「作業」ができるようする。
本書では、このワーキングメモリを鍛える手法が多く紹介されている。
そんなに多くのことを実行できるわけではないが、唯一学んだことは、「仕事を続けていれば、ワーキングメモリは衰えない」ということ。
そう考えると、悠悠自適な生活というのは、ワーキングメモリ的に考えると、決して幸せな生き方ではないということが言えるのかもしれない。
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