入門 犯罪心理学/原田隆之
この中で正しいのはどれだろうか。
・少年事件の凶悪化が進んでいる。
・日本の治安は悪化している。
・性犯罪の再犯率は高い。
・厳罰化は犯罪の抑制に効果がある。
・貧困や精神障害は犯罪の原因である。
・虐待をされた子どもは非行に走りやすい。
・薬物がやめられないのは、意志が弱いからだ。
実は、これらはいずれも科学的な裏付けがなく、事実ではない。
上記はいずれも日本人が常識として信じている内容である。
ところが、実は、事件は年々減少の一途をたどっており、特に凶悪事件や粗暴事件の減少が目立っている。
わが国ではここ十年以上、犯罪発生件数は減少を続けているし、国際的な比較をすると、日本は依然として世界一安全な国である。
そして、性犯罪は、窃盗や薬物事犯に比べると、はるかに再犯率が低い。
さらに、厳罰化には犯罪抑制効果はなく、むしろ最悪の場合、助長してしまうことがある。
また、貧困や精神障害と犯罪の関連性は低く、虐待と非行の関連性も低い。
最後に、薬物がやめられないのは、薬物に依存性があるからであり、意志の力とは関係がない、というのである。
このように見てみると、あまりにも根拠のないことがなんの疑いもなく信じられているということに唖然とさせられる。
そして多くの人は、これらのことを前提にして議論している。
空虚な議論と言わざるを得ない。
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