現代の金融入門/池尾和人
そもそも資金の利用可能性を本源的に提供しているのは、預金者であって、銀行ではない。それゆえ、資金の利用可能性を提供することに伴う対価は、本来的にはその間の耐忍に対する報酬として預金者に帰属するべきものであり、銀行の利益に帰すべきものではない。預金金利が自由化されるとともに、実際にそうなる傾向が支配的となっていった。それゆえ、単にカネを貸すというだけでは、銀行は利益をあげるのが難しくなっていった。
本書を読んでみて感じたことは、金融の世界がますます複雑化してきたということである。
複雑な数式などが記載されているが、こんなもの素人である私には全くわからない。
そもそも一般の人が全くわからない世界で金融という世界が動いていることにむしろ怖さを感じる。
金融資本主義という言葉があるが、一握りの人間が世界を支配しているという人がいる。
本当なのかもしれない。
但し、どんなに金融の世界が複雑になったとしても、銀行の利益の源泉は、本来的には金融仲介の過程で銀行が果たしている機能や決済機構の運営を通じて提供しているサービスの質に求められるという基本は変わらないのではないだろうか。
ただ、そのサービスの内容が以前のように預金という形でお金を集め、お金を貸して、その利幅の差で儲けるという形だけではやっていけなくなってきた。
この意味で、近年、銀行はどれだけ有益で意義のあるサービスを提供できるかどうかをますます厳しく問われるようになったといえるのではないだろうか。
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