最高のリーダーは何もしない/藤沢久美
ビジョンに基づいてメンバーが自律的に動くチームをつくれれば、リーダーは現場への指示に時間を奪われなくなります。そこで生まれた時間を使って広く世の中を観察し、次なる展開を考え、変化に備える――こうした好循環を生み出し、メンバーとともに成長する組織をつくることこそが、これからのリーダーの仕事です。
これまでのリーダーシップの形が変わろうとしている。
従来型の理想とするリーダーシップはいわゆる強いリーダーシップだった。
ところが今、実際にリーダーとしてたち、さらに成功しているリーダーを分析してみると、従来型のリーダーはすくなくなってきている。
むしろ明確なビジョンを示し、現場は現場に任せるリーダーが成果を上げているというのである。
どうしてこのように変わってしまったのか?
本書ではその原因を2つあげている。
1つは、消費者の価値観やニーズの多様化である。
インターネットをはじめとした情報通信の発展によって、かつて知りようがなかった「小さな価値観・ニーズ」が顕在化し、それがダイレクトに企業や組織に伝わるようになった。
同時に、モノやサービスが充実したことで、量から質へ、「納得できる価値があるもの」へと人々の嗜好が移ってきた。
大量生産された商品や画一的なサービスではなく、精神的充足が得られる商品、特別感のあるサービスを求める傾向が強くなってきたのである。
2つ目は、変化のスピードである。
各人の嗜好が多様であるだけでなく、その嗜好自体が大変なスピードで移ってゆく。
こうした状況下で、リーダーが自社の商品・サービスのすべてを把握し、それぞれに対して意思決定をしていくのは不可能である。
個別のケースごとにリーダーの指示を仰いだりしていると、柔軟かつ素早い対応ができずに、お客様のニーズとのあいだにズレが生じることになる。
つまり、従来のトップダウン型リーダーシップだけでは「遅すぎる」のである。
メンバーがワクワクして自ら動き出すようなビジョンや目的を提示し、現場に任せるのが新しいリーダーシップの形だということではないだろうか。
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