アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない/町山智浩
筆者が毎晩欠かさずに観るアメリカのテレビ番組は、夜11時半からの国民的トーク・ショー『トゥナイト』。この番組でいちばん面白いのは「ジェイウォーキング」というコーナーだ。司会のジェイ・レノが街頭の人々に、小学生レベルの質問をしていく。たとえば北京オリンピックの最中には、こんな感じ。
「今、オリンピックやってる国はどこですか?」
「アメリカ? ……じゃないのね……」
「ヒント。アジアです」
「タイかしら?」
「……オリンピック発祥の地は?」
「アメリカ?」
答えているのは小学生とかチンピラじゃない。きちんとした服装の白人女性だ。レノは思わず尋ねる。「ところで職業は?」
「大学生。教育学部よ。先生になるの!」
ギャフン。スタジオの観客は大爆笑。
私たちが考えるアメリカ人と、本当のアメリカ人とは随分ギャップがある、というのが本書を読んだ印象である。
通常、私たちはテレビメディアを通して、アメリカ人を知る。
大部分はワシントンやニューヨークといった大都市のアメリカ人である。
当然、ある程度の知的レベルにある。
世界の動向にも関心を持っている。
しかし、それはアメリカ人の中ではむしろ少数派のようだ。
大部分のアメリカ人は世界のことはほとんど知らない。
関心もない。
きわめて内向き志向。
トランプ氏が共和党の大統領候補になってしまったのも、このような背景があるのだろう。
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