黒い空/松本清張
「合った!」
小原甚十は口の中で叫ぶ。
(あれを、「センタニ」とよませていたからわからなかった。「千」の替え字は「扇」だ。すると「扇谷」ではないか。「おおぎがやつ」だ。……そうだったのか、千谷規子も扇谷上杉家の末裔だったのか)
物語の舞台は山内上杉家の末裔の事業家山内定子が創った八王子郊外の結婚式場、観麗会館。
経営をまかされているのは小心な婿養子善朗。
そしてその善朗のために経理をごまかし1億を超える隠し金を用意する経理の千谷規子。
ある日、その隠し金が見つかり、口論から激情して定子を殺してしまった善朗、
死体を会館の名所である「断崖」に埋め込んでしまう。
と、そのようなストーリーなのだが、そのキーマンとなっているのが千谷規子。
彼女は実は扇谷規子、扇谷上杉家の末裔だった。
この殺人事件の背景には、山内上杉家に対する扇谷上杉家の長年の怨念があったというもの。
現実にはあり得ない設定で少し無理があるように感じるのだが、読み進めていくとそれなりに面白い。
ただ、清張の小説の中では凡作なのではないだろうか。
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