日本は世界一の「医療被曝」大国 /近藤誠
胸部エックス線撮影が0・05ミリシーベルト。胃バリウム検査が最低で3ミリシーベルト。胸部CT検査で約10ミリシーベルト。胸部レントゲン検査以外では、一回の医療被曝の線量の方が、浪江町の年間被曝線量よりずっと高いことが分かります。
浪江町の避難指示解除準備区域にある浪江町役場の空間放射線量は2015年3月12日の時点の年間線量は計算すると0・79ミリシーベルトになるという。
そうすると、私たちが胃バリウム検査や胸部ⅭT検査を受けると、それ以上の放射能を浴びることになる。
このことを自覚している人はどのくらいいるのだろう。
日本は世界で唯一の原爆被爆国である。
広島・長崎の原爆被害については日本人なら誰もが知っている。
しかし、日本が医療被曝大国でもあることを知っている日本人は少ない。
そもそも日本人ほど病院に行く国民はいない。
薬好きの国民もいない。
例えば、風邪を引いて病院に行き薬を処方される国民は日本人以外、あまりいない。
イギリスやオランダなど、家庭医制度が整った国では、住民は風邪を引いても家庭医を訪ねない。
「家に戻って安静にしていなさい」と言われて、薬も処方してくれないことを知っているからである。
風邪に医者や薬はいらない。
しかし日本では、どれほど多くの人が風邪で病院にかかり、薬を処方されていることか。
薬局で解熱剤を買う人もたくさんいる。
ところが薬で熱を下げると、風邪が長引く。
体温が高いと風邪ウイルスの働きが落ちるため、体はわざわざ熱を出しているのだが、薬で熱を下げてしまうと、ウイルスが活発に増殖し、薬を飲む以前よりも増えてしまうからである。
それで焦って、また解熱剤を飲むと、一時的に熱が下がっても、その間にウイルスが増えて、再び高い熱が出る、という悪循環に陥り、薬を飲むほど風邪が長引く。
一事が万事そんな感じである。
日本の医療費は年々上がっているが、こんな国民性も原因の一つなのではないだろうか。
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