「マーケティング」のきほん/庭山一郎
「企業の最も重要な資産は顧客情報である」。これは40年以上も世界のマーケティングをリードしてきたセオドア・レビットの言葉です。
企業が存在できるか否かを決めるのは経営者でも株主でもなく「市場と顧客」なのです。
先日、ある新聞販売店の社員が新聞の売り込みにやってきた。
「6ヶ月取ってくれたらこれを差し上げます」と洗剤やチケットを差し出す。
もうすでに2紙取っているので断ったのだが、考えてみたら今取っている新聞販売店からは何もサービスしてもらったことがない。
「釣った魚にエサはやらない」ということだろうが、これは悪しき慣習ではないだろうか。
長期継続の既存顧客は新聞社にとっては、まさに「釣れた魚」と映っているのかもしれない。
携帯電話も浮気性な人が優先的に良いサービスを受けられる。
同様に、既存顧客を大切にしない日本企業は多い。
新規開拓ばかりに血眼になっている。
顧客とはその企業にとっての存在基盤である。
顧客に見捨てられれば企業はたちまち倒産する。
極めて強固に見えた企業が、顧客を裏切ったためにあっという間に消えていった事例は枚挙にいとまがない。
しかし、残念なことに日本では既存顧客をあまり大事にしない企業がたくさんある。
わが社にとって「顧客は誰なのか?」
企業はまずこれを問うていく必要があるのではないだろうか。
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