「やめる」習慣/古川武士
このように、「何のために」という理由が強力であれば、目先の誘惑を乗り切りやすくなります。意志の強さ弱さではなく、「骨太の理由」をどう作るかが、「やめる習慣メソッド」を実践していく上で重要です。
ある意味「やめる」ことは「続ける」こと以上に難しいことだと思う。
悪い習慣とは目先の欲望や誘惑に負けてしまい、長期的に見るとデメリットをもたらす習慣である。
「悪貨は良貨を駆逐する」とよく言う。
これはグレシャムの法則。
悪い貨幣の流通を放置すると、よい貨幣を人々が手元に置いてしまい、市場から消えてなくなるという意味である。
習慣にもまったく同じことが言える。
せっかく努力して身に付けた良い習慣も、悪い習慣がその努力を帳消しにしてしまう。
しかし、分かってはいてもなかなかやめられないのが悪い習慣。
それは脳の性質にもよる。
つまり、人間の脳はその生存本能から、変化に抵抗し、現状を維持しようとする。
変化は危険であることが多いからである。
だから、脳にとって新しい行動は、よい習慣、悪い習慣の区別なく、変化である限りやめさせようとする。
それを乗り越えるためにはどうすればよいのか?
結論から言えば、無意識がいつもどおりと認識するまでやめ続ければいい。
悪い習慣をオフにした状態がいつもどおりと無意識が認定すれば、脳はそれを保とうとする。
これこそが「やめる習慣」のメカニズムである。
ではそのためにはどうすればよいのか?
「何のために」という「骨太の理由」をつくることである。
悪い習慣が手放せないのは、その習慣には肯定的な意味もあるから。
例えば、たばこがやめられないのはそれによってリラックス効果があるから。
本来何かで満たされるべき欲求を、悪い習慣が満たしてくれていて、それが快感だからこそ、習慣として定着しているのである。
だからこそ、それを否定する「骨太の理由」が必要。
骨太の理由を作る際は、「危機感、快感、期待感」というキーワードを切り口にして考えるとよい。
1つめの「危機感」は、この習慣をやめなければ「こんな悪いことがある」というもの。
たとえば、タバコを吸い続けると肺ガンになる可能性がある。
そうなれば、家族を路頭に迷わせることになる。
このような危機感を抱くこと。
2つめの「快感」とは、この習慣をやめれば「こんなよいことがある」という目先のメリット。
たとえば、夜更かしをやめると、睡眠時間が7時間確保できて、昼は眠くならないし、朝起きるときにつらくなくなる。
快適な1日を送れるというようなもの。
3つめの「期待感」は、快感が目先のメリットであるのに対して、長期的なメリット。
やめ続けることでどんな効果があるか、仕事、人間関係、健康、家族への影響などに広げて考えていくとよい。
確かに、自分のことを振り返ってみても、「この程度のこと、どうってことない」と、悪い習慣を何となく容認しまっているところがある。
これに対して明確に「NO」ということ。
まずはここから始めるべきということだろう。
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