「できる人」の相談する技術/福田健
人間はその根底に、
・人と交わりたい
・成長したい、いい仕事をしたい
・人の役に立ちたい
との思いを抱いている存在なのである。
相談して、自分の力をつけたい。
相談にのって、相手の役に立ちたい。
これが、本来の姿なのだ。
「報連相」という言葉があるように、相談することは仕事の基本である。
ところが、これが苦手という人は意外と多い。
特に仕事ができるという人に限ってそういう人が多い。
仕事は、多くの場合、人と協力しながら行う。
相手に相談していくことによって、スムーズにことが運ぶ。
仕事のできる人、頭の回転の速い人、せっかちな人も、相談ずくでことを運ぶのが苦手なようである。
仲間を振り返らないまま、自分ひとり、どんどん先に進んでしまう。
独りよがりに仕事を進めた結果、大きな失敗を招くこともある。
「どうしてあの時、ひとこと相談してくれなかったの」と後から言われてしまう。
仕事そのものの出来具合にも影響があるが、同時に、自らの成長の機会の損失にもつながる。
相談しないのは、第一に「向上したい」という思いを、自分で抑えつけているのであり、第二に、「役に立ちたい」という相手の思いに応えていないのである。
相談は、する者とされる者との間にかわされるコミュニケーションである。
相談する者は、それによって仕事を円滑に進め、成長する。
相談にのる者は、相手の問題解決を支援すると共に、その過程で、自らも、人に信頼され、人を信頼する人間へと、伸びていく。
本当の「できる」人はそのことをよく知っている。
だから相談することをないがしろにはしない。
何でも相談しないでどんどん仕事を進める人は、ある意味、「自分は仕事ができる」と勘違いしている人なのではないだろうか。
人は一人では何もできないのだから。
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