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2017年2月17日 (金)

領土の常識/鍛冶俊樹

Photo「昔は領土を奪い合って戦争をしていたわけですが、今は経済の時代です。領土に固執するなんて馬鹿げている。シンガポールや香港を見なさい。面積は小さいのに経済性は極めて高い。領土なんてなくていいのです」
 こう断言する政治家に会ったことがある。保守政党所属のかなり高名な方だったが、このご意見にはさすがに唖然とさせられた。

確かに「日本が奪われた領土を諦めれば、波風立たずに平和に収まる」という話はよく聞く。

しかしこれは、かえって戦争を誘発しかねない危険な考えである。

世界史とは戦争の歴史でもある。

国家は必ず戦争から生まれる。

米国は独立戦争から生まれ、中華人民共和国は人民革命戦争から生まれた。

国家と軍隊の関係でいえば、まず軍隊があり、軍事制圧が完了した後に国家が出現し、統治が始まる。

軍隊が一般的に国家の中で他の行政機関と違った位置付けになっているのはこのためである。

国家より先に軍隊があるのである。

これは歴史を見れば明らかなことである。

そして国家には必ず領土があり国境がある。

日本は今、二つの領土問題を抱えている。

北方四島であり竹島である。

尖閣諸島は歴史上も日本の固有の領土であり領土問題は存在しないというのが日本の立場である。

竹島は1952年に不法占拠された。

にもかかわらず、1965年に不法占拠を許したまま日本は韓国と国交を開き多額の経済援助を行った。

日韓が国交正常化した1965年当時、海軍力は日本が圧倒的に優位であった。

従って日本政府が海上自衛隊を派遣すれば、韓国の警備員はほぼ無抵抗で竹島を引き渡したであろうことは確実であった。

北方領土についても同様で、ソ連崩壊後の1990年代には、北方領土を管轄するロシア軍は補給不足でほとんど動けない状態であったから、もし自衛隊が上陸すれば、一戦も交えることなく領土を明け渡したであろうと言われている。

しかし、日本は専守防衛を基本姿勢としているので、現実にはそれはできない。

外交交渉は軍事力という背景があって初めて有効に機能する。

そう考えると、日本人の軍事アレルギーがかえって領土問題をややこしくさせているということがわかる。

これは何も戦争をしろというのではなく、軍事力をチラつかせることによって、交渉を有利に進めることができるということである。

私自身は戦争は絶対やるべきではないと考えているのだが。

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