これからのマネジャーの教科書/田久保善彦、他
自己変革とは、単にスキルを身につけたとか、新しい考え方を手に入れたとか、そういう類のものではない。内省により自己を正しく認識し、自分はどうすべきかを真剣に考え行動し、そして自分ならではの持論を形成していくのだ。
常にイキイキと仕事に取り組み、周囲からの期待を超える活躍をしているマネジャーと、そうでないマネジャーの違いはどこから生まれるのか?
本書は10万人のビジネスパーソンが学んだグロービスの調査結果を初公開したもの。
プレイヤーとして優秀だった社員がマネジャーとして優秀とは限らない。
たとえて言うならば、昨日まで野球選手としてバッターボックスに立っていたプレイヤーが、次の日からは、昨日までの自分と同じことをしている選手たちを監督として管理する立場になるということ。
すべてがガラリと変わる。
それなのに、誰も手を差し伸べてくれず、自分だけでなんとか切り抜けていかなくてはならない。
途方に暮れるのも無理はない。
期待を超えるミドルマネジャーは、次の3つの力を持っていると本書には書かれている。
組織で成果を出す力(スキル)
仕事に対する想いの力(ウェイ)
周囲との考えの違いを乗り越える力(ギャップ)
この3つである。
彼らは、単に「組織として成果を出す力」に秀でているというだけではなく、「仕事に対する想いの力」持っているというのだ。
そして、彼らはこの想いを、自分の言葉で、熱く語れる人たちでもある。
「語る」ということを通じて、熱い想いが伝播し、周りの人間をも突き動かす。
そして「仕事に対する想いの力」を獲得するために必要なこと、それは「節目となる過去の経験」である。
つまり、「あのときのあの経験が今の自分に影響を与えている」と感じられるだけの、自分にとって強烈で意義深い経験である。
自らを振り返り、「仕事に対する意味づけ」をするための節目は自分でつくらなければいけない。
こうした節目となる経験と、仕事に対する想いとがストーリーとなって重なり合ったときに、自身の中で「想いの力」となる。
「想いの力」を獲得したマネジャーは、心の底から自然と湧き上がる強い想いを自分の言葉でストーリーとして語るのことができる。
それが「周囲との考えの違いを乗り越える力」となる。
こそがマネジャーに最も求められる力だというのである。
つまり、人生における「節目」を自らつくり、内省することを通し、自分なりの持論にまで昇華させた者。
このような者が期待を超えるマネジャーになるのだという。
これは多くのマネジャーにとってかなり高いハードルになるのではないだろうか。
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