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2017年2月28日 (火)

人事評価はもういらない/松丘啓司

Photo 「内的動機」とは、その人がどのようなときに充実感を感じたり、思わず熱中したりするかという、いわば個々人のモチベーションのスイッチだ。自分の内的動機が満たされているとき、人は最高に意欲的になれるのである。

いま、アメリカでは、年次評価を廃止する企業がでてきているという。

年次評価を廃止すると言ったとき、そこには2つの意味が含まれていることを理解しておく必要がある。

1つ目は、A・B・Cといった社員のランク付けを行わないということ。

2つ目は、年度単位で社員の評価を行うという業務を止めるということである。

年初に全員が一斉に目標設定を行うことは止める。

そのかわりに、期中においてタイムリーに目標を設定したり、変更したりすることが繰り返される。

中間レビューも廃止される。

しかしそれは、期の途中で何のフィードバックも行わないという意味ではない。

目標が臨機応変に設定されるように、その結果に対するフィードバックも随時、実施される。

これは、わざわざ中間面談や期末面談のタイミングまで待つのではなく、リアルタイムでフィードバックを行ったほうがはるかに有意義だからである。

アメリカ企業がパフォーマンスマネジメント変革を実施している理由は、一言で述べるとシンプルだ。

従来のパフォーマンスマネジメントが個人や組織のパフォーマンス向上につながっていないと見なされはじめたからである。

自分が知らないことを人に尋ねたり、間違ったことを述べたりすると非難され、評価が下がるような職場では、心理的安全が得られない。

したがって、年次評価によるランク付けの廃止は、職場の心理的安全を高めることによるコラボレーション促進を目的とした組織風土変革と捉えることができる。

脳科学の検証によると、数値によってランク付けされることによって、人は学習や成長に対してネガティブになる「硬直的なマインドセット」を強化させてしまう。

そのことによって、社員はフィードバックに耳を閉ざし、ストレッチゴールを危険と考え、学習に向けたモチベーションを低下させ、努力を避け、他人の成功を脅威に感じるようになると言われている。

そもそも、人事評価には2つの目的がある。

1つ目は、処遇を決めるため。

2つ目は、行動を改善し、人材育成するため。

ところが、成果主義の浸透により、1つ目の目的ばかりが強調されるようになった。

その結果、社員が後ろ向きになりパフォーマンスに悪影響が出てくるようになった。

今のアメリカ企業の年次評価廃止の動きは、人事評価の本来の目的に立ち返る動きとも言える。

給料を上げれば社員が頑張るとは限らない。

またこの手法には限界がある。

むしろ、社員一人一人の動機や価値観に着目することが大事。

人にはそれぞれ、モチベーションのスイッチがある。

それを探り当てること。

これが重要。

その意味で、カギを握るのはマネジャーの対話力である。

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