銀河鉄道の夜/宮沢賢治
「カムパネルラ、また僕たち二人きりになったねえ、どこまでもどこまでもいっしょに行こう。僕はもう、あのさそりのように、ほんとうにみんなの幸のためならば僕のからだなんか百ぺん灼いてもかまわない」
「うん。僕だってそうだ」カムパネルラの眼にはきれいな涙がうかんでいました。
本書は孤独な少年ジョバンニが親友カムパネルラと銀河鉄道に乗って夜空の旅をするという物語。
そして、この会話が鉄道内でジョバンニとカムパネルラが交わす最後の言葉。
この言葉が、ジョバンニとカムパネルラが見つけた人生への答え、ということだろう。
孤独で心優しい青年の言った言葉だからこそ、そのピュアな気持ちが胸にしみる。
そして事実、カムパネルラは子供を救うために命を投げ出す。
壮大で、美しく、幻想的で、そして何とも物悲しくて、一度読み終えると、その後、ずっと心の中に物語の一場面一場面の印象が刻みこまれてしまう。
なんとも不思議な読後感である。
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