ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み/近藤宣之
社員数わずか55人の中小企業が、社員ひとりに年間百数十万円の教育費をかけるのは簡単ではありません。
ですが、会社の存在理由は、「社員を成長させる」ことにあるのですから、そのための投資を惜しんではいけません。
日本は社員にかける教育費が先進国の中で最低であることは周知の事実となっている。
このことから言っても社員ひとりに年間百数十万円の教育費をかける会社は日本にはほとんどないであろう。
特に中小企業では異例であり、ありえないレベルである。
「人を大切にする経営」をうたっている会社は多くある。
しかし、そのような会社でもいざ赤字に陥ったらリストラする。
これでは本当の意味で「人を大切にする経営」とは言えない。
つまり、多くの場合、「もし会社が黒字ならば」という前提条件が付くのである。
「人を大切にしない経営」があとを絶たないのは、「背に腹は代えられない」という社長の思いがあるからだ。
建前として、「人を大切にしている」と言いながらも、内心では、「結局はお金だ、お金こそが企業の存在価値であり、存続条件だ」と考えている。
だから、目の前のお金を得るために、人を犠牲にする。
しかし、著者が社長を務める日本レーザーは違う。
「人を大切にする」というのは社長の決意である。
会社を変えるのは、社長の決意だ。
社長の心が変わったとき、会社も変わる。
「人を大切にする経営」の実践こそ、会社を再建・成長させるたったひとつの方法だと著者はいう。
雇用を守られる安心感があるからこそ、社員は一所懸命働くことができる。
社員の中に、「何があっても、どんな状況に陥っても、この会社は自分と家族を守ってくれる」という実感があるからこそ、安心して力を発揮できる。
結局、社長の強い思いが会社と社員を変えるということではないだろうか。
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