世界で一番やさしい会議の教科書/榊巻亮
「三万時間」
…あなたが一生涯で会議に費やす時間だ。
この途方もない時間、想像してみたことはあるだろうか? 一日十時間活動できるとして、約八年分になる。大事なことなのでもう一度言う。〝貴重な人生の時間を、八年分も会議に捧げる〟ことになる。
日本人の生産性の低さは今や周知の事実となっているが、中でも会議の生産性の低さは際立つ。
多くの会議は、一部の人が発言し、結局一番地位の高い人や声の大きい人の意見が通る。
黙っていた者は、会議が終わった後、影でコソコソと不満を述べる。
そして、決まったこと自体も何日か経つとうやむやになる。
特に現場にとって都合の悪いことは実行されず闇から闇へと葬られる。
会議不要論が出るのもうなずける。
しかし、会議は本当にムダなのだろうか。
そうではない。
やり方が間違っているだけである。
例えば、会議の時、何のためにやるのか、明確になっていない会議がほとんどである。
だから、会議の冒頭で、目指すべき状態を共有しておく。
たったそれだけで、全員が勝手にその目標に向かってくれるようになる。
会議の時にはホワイトボードを有効に使い、空中戦を避ける。
ホワイトボードには発言をそのまま書く。
ただし、書く時には、〝意見〟、〝論点〟、〝決定事項〟を意識して書き分ける。
〝意見〟はそのまま発言を書く。
〝論点〟は、質問や議題などを『問』として明記する。
これによって、何を議論しているのか明確にできる。
議論は〝問(論点)〟に対する〝回答(意見)〟が積み重なって成立している。
そして、複数の問(論点)を同時に議論することはできない。
つまり〝たった今、何の問(論点)について話しているか?〟を明確にすることが、議論をかみ合わせるうえで極めて重要になる。
〝決定事項〟は、決まったこと、やるべきことを書く。
終了条件や時間配分なども決定事項になる。
これによって、議論が見えるようになる。
こうすると、全員の頭が整理される。
そして、会議が終わったタイミングで、〝決まったこと、やるべきこと〟を確認する。
やるべきことは、〝誰が、いつまでに、何をするか〟を明確にする。
これだけでも、実行される確率は格段に上がる。
やってみて損はないのではないだろうか。
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