« 組織を変える「仕掛け」/高間邦男 | トップページ | 会社の中はジレンマだらけ/本間浩輔、中原淳 »

2017年5月 9日 (火)

松下幸之助に学ぶ 成功の極意ー「思い」の技術ー/宮本直和

Photo 「思えば、かなう。正しく思えば、必ず実現する。熱き思いを込めて取り組めば、何事も成功する。その思いを高めれば、物事はますます発展する。小さな『思い』から目覚め、『思い』を変え、『思い』を育てていきなさい」

大企業であれ中小企業であれ、経営者が、単純に上位下達的に、「アレやれ」「コレやれ」とせかすならば、受け身になるばかりである。

「トップダウン」とか、「ボトムアップ」という言葉がある。

しかし、一つの仕事にかかわる構成メンバーが、ただ情報をトップからボトムに流したり、あるいはボトムからトップに上げていたのでは、組織自体は質的に変化していかない。

もしも、組織構成メンバーが、一つの「思い」でまとまらなかったり、その「思い」を高めることに失敗したならば、力強い結束力や実行力が出ない。

それぞれの組織に所属する人間が、その「思い」を高めず、グラグラフニャフニャした状態を、松下幸之助氏は、「ナマコ」とか「豆腐」と呼んだ。

どうにも、「とらえどころがない状態」これが「ナマコ」であり、「一本の骨のない状態」これが「豆腐」である。

こうした時には、組織が危機的状態に陥っている。

それ故に、組織構成員一人一人の「思い」をチェンジし、その「思い」を高めようとした。

単なる「個人知の寄せ集め」でなく、質的飛躍を遂げた「英知」「天知」への発展が、「素直な心」を媒介により可能になる。

この「英知」段階に達すると、「どうしてもやり遂げよう」という強い意志が生まれる。

こうして「衆知を集める」ならば、健全なバランスをとった形で、一人ひとりの「思い」や組織全体の「思い」は質的に変化し、高まっていく。

実際、この組織全体の「思い」を高め発展させないかぎりは、事業の発展もプロジェクトの成功も不可能だということに、松下幸之助氏は気づいた。

そしてこれを「衆知経営」と呼んだ。

例えて言うと、「個人知」の状態は自然石の野面積み式石垣と同じであって、とても五層にも及ぶ大阪城の天守閣などは支えきれない。

それが、加工石を使い縦横の石組みがしっかり出来上がると、石垣は崩れない。

しかも、天変地異があっても、決してびくともしないばかりか、大地震が来て、地盤が揺れれば揺れる程石垣がしまっていく構造になっている。

だから、見た目にも、大阪城の石垣は、極めて秀麗なカーブを形づくり、一つの芸術品である。

古来、日本の建造物の知恵は、こうした発想法に満ちている。

松下式「衆知経営」とは、「思い」の石組みであり、木組みである。

ただ、それは自然石や自然木のままではなく、「個人知」を越えた、加工石やノミの入った材木(英知)である。

そうなった時、大阪城天守閣や五重塔を支えることができる。

松下幸之助氏はこのようなことを考えて経営していたのである。

今の経営者にはとうていマネのできない知性を感じる。

« 組織を変える「仕掛け」/高間邦男 | トップページ | 会社の中はジレンマだらけ/本間浩輔、中原淳 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 松下幸之助に学ぶ 成功の極意ー「思い」の技術ー/宮本直和:

« 組織を変える「仕掛け」/高間邦男 | トップページ | 会社の中はジレンマだらけ/本間浩輔、中原淳 »