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2017年5月27日 (土)

「タレント」の時代/酒井崇男

Photo 結局、今日、「富の源泉」は、タレントとタレントを生かす仕組みである。もしくは、全国民による「非定型労働の集積でつくりだしていく」しかないのである。

かつて日本は生産技術によって差別化していた。

いかに良い製品を早く大量に安く生産できるか、この点で日本は抜きんでていた。

しかし、今やその点では差別化できなくなった。

市場と生産技術が成熟化した現在、差別化要因は、買い手のニーズにマッチした製品が開発できているかといった質的な事柄である。

例えば、アップルはメーカーだが、量産工場は持っていない。

アップルが生み出しているのは設計情報である。

それが中国の製造請負メーカーに渡されiphoneやipadが作られる。

それらはアップルの製品として売り出される。

もちろん、一番儲けているのもアップルである。

これは製造業だけではない。

例えば、スターバックスが所有している最も重要な資産は、「ノウハウ」などの無形資産である。

各店舗の設備や不動産といった目に見える固定資産ではない。

設備や不動産は利益を上げるために必要なら調達し、不要になればすぐに処分する。

スターバックスでは、標準や基準、サービスの手順、心の持ち方、声のかけ方、コーヒーの作り方まで細かく決められている。

マニュアル化されている。

スターバックスの店舗で、気持ち良く店員さんがコーヒーを注いでくれるのは、店員さんがたまたま親切な人なのではなくて、そうするようにあらかじめ行動手順がつくられているからである。

そして、スターバックスの顧客体験を各店舗で展開するために、必要かつ十分な設計情報は、米国の本社でつくられている。

実店舗と全く同じ設備で顧客体験が「量産試作」されている。

結局、私達はモノを買っているように見えて、実際は設計情報を買っているのである。

商品価値は設計情報に埋め込まれている。

研究開発の成果もデザインも作り方も、その情報には含まれている。

現在、ものつくりの本質とは、設計情報をつくることなのである。

グローバル製造業の多くは、生産準備までは本社で行い、量産はコスト的に有利な地域か、買い手の住む地域で行っている。

そうなってくると、企業が生き残っていくために重要なのは、設計情報を生み出すことであり、それを生み出す人材である。

そしてそのような人材をタレントと呼ぶ。

タレントは、「質的に異なる意味のある新しい何か」を生み出す人である。

結局、足りなかったのは、「タレントとタレントを生かす仕組み」の理解である。

もはや企業の差別化要因が変わってしまったということは十分理解する必要があるのではないだろうか。

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