怒れない上司になるな!/部奈壮一
アマチュアの戦いでは「和」、つまりチームワークが優先される。草野球でも、和が保たれるから勝てるのである。中には、「野球さえできれば、勝ち負けなんてどうでもいい。みんなと楽しくプレーができて、終わったらビールで乾杯するのが最高!」というチームもあるだろう。
しかし、プロフェッショナルの戦いは、そんなわけにはいかない。勝ちから和が生まれるのであり、負け続けているチームには和は生まれない。
最近の傾向として叱らない上司が増えてきたという印象がある。
特に新人は叱ったらすぐに辞めてしまうという話をよく聞く。
つまり、叱れない上司と叱られることに耐性のない部下が増えてきたということである。
パワハラの問題もある。
ちょっと叱ったらパワハラになってしまうのではという恐れがある。
これと関連して「怒る」ことと「叱る」こととは違うと言われる。
そのときの感情に任せて部下に強い言葉をぶつけることが「怒る」であり、
部下の姿勢や考えを正すことを目的に部下に強い言葉をぶつけることが「叱る」ことだと。
しかし、実際にはごっちゃになっていることが多い。
言葉の解釈にこだわって、あえて「怒る」と「叱る」とを線引きすると実際には「叱る」ことさえできなくなる。
むしろ、両者をセットにして「怒ってから叱る」という手順の方が有効ではないだろうか。
すなわち、「怒る」ことを「叱る」ための前工程だと位置づけるのである。
そうすると、部下を怒ることへの第一歩が踏み出しやすくなるのではないだろうか。
いずれにしても、叱れない上司が増えているということに、プロの集団である企業がアマチュア化しているのではと危惧してならない。
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