銀行はこれからどうなるのか/泉田良輔
テクノロジーが起こす変化を考えれば、「今後の銀行の役割は何か」ということを考え直さなければならなくなる。
結論から言えば、銀行の役割は、貸出や投資機会を見極める「目利き」にある。ここで他の銀行業あるいは異業種との競争に敗れれば、存在意義を問われることになる。
今、5つの困難が銀行を取り巻いている。
第1に、貸出先や運用先がない
第2に、預金の魅力がない
第3に、異業種との競争環境激化
第4に、規制の複雑化とその管理の難しさ
第5に、大きすぎて変われない
一方、銀行の機能は次の3つに集約される。
第1が、借り手と貸し手の仲介をする「金融仲介機能」
第2が、預金がさらなる預金を生み出す「信用創造機能」
第3が、現金を直接使わずに銀行口座でさまざまな決済ができる「決済機能」
である。
このような環境の中で、銀行が生き残るには何が必要か。
著者は、最後の決め手になるのは、貸出や投資機会を見極める「目利き」だという。
サッカーや野球でもそうだが、お互いの力が拮抗しており、試合が膠着している場面では、選手の「わずかな技術の違い」が勝負の行方を決めることがある。
たとえば、対峙する選手の重心移動と逆の動きをとることで局面が打開できたり、打開されたりすることがある。
膠着した試合が動くのは、ややもすればそうした見逃しがちな「点」であり、その組み合わせが試合を決めていく。
今、銀行が直面しているのは「点の競争」である。
では「点」とは何か。
それは人材であったりテクノロジーであったりする。
どのようなビジネスも、最後は人材が重要なことには変わりがない。
その上に、今後の銀行のビジネスにさらにテクノロジーの要素の重要性が増してきているのが今なのだと言えよう。
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