スティーブ・ジョブズ全仕事/桑原晃弥
マック・チームは「週90時間労働、大好き」と印刷されたTシャツを着ていたという。実際、主要メンバーは猛烈に働いた。
「僕らは毎週7日間、毎日14時間から18時間ぶっ通しで働いた。2年間ずっとね。いや、3年かもしれない。それが僕らの生活だった。でも、みんなそれを楽しんでいた」
「残りの人生を、ある意味捧げてもよいと思っていた」
「ワーク・ライフ・バランス」が叫ばれている今、この働き方は真逆を行っている。
さながら「ワーク・ライフ・アンバランス」と言えよう。
場合によってはブラック企業と批判されるかもしれない。
しかし、ブラックかそうでないかは、そこで働く当人が決める事。
実際、マック・チームは高いモチベーションで自ら進んで働いていた。
負荷に耐えながら猛烈に働き、アイデアを練り、プレーヤーたちを鼓舞できたのはなぜか。
「世界を変えるコンピュータをつくりたい」という強い情熱に支えられていたからだった。
実際、ジョブズは「情熱がたっぷりなければ生き残れない」と言い、安易な金儲けに走る起業家には、こう忠告している。
「本当に情熱を注ぎ込めるものを見つけるまでは、皿洗いか何かの仕事をやったほうがいい」
情熱は人生のガソリンだ。
少ししかなければ、投げ出しやすく諦めやすい人間になる。
情熱さえ満タンなら、何が何でも目標に向かい、壁をも打ち破る人間になる。
脳内物質アドレナリンを噴出させて仕事に熱中する。
「ワーク・ライフ・バランス」という言葉には反している。
だが、どうだろうか。
時にはバランスを失うほど熱中してこそ人生は面白いのではないだろうか。
本当に心の底から望む仕事に出会ったら、誰だって自分のすべてを捧げて惜しくないと思うはずだ。
人にはそんな時期があっていい。
しゃにむに働いているうちに量が質に転化し、質の高い仕事が自然にできるようになる。
効率は、膨大な仕事の量と時間の中で体得してゆくものだ。
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