平成紀/青山繁晴
「英語のYES、NOは、相手の言葉に含まれた事実そのものに合わせてのYES、NOだろ。日本語は相手の言い方に合わせて、はい、いいえを使うんだよ。」
現参議院議員の青山氏の著書には珍しい小説である。
舞台は1989年前後の宮内庁周辺。
各社の記者たちが天皇の崩御と次の元号の取材で競っている様子を描いている。
1989年1月に昭和天皇が崩御され、その年の11月にはベルリンの壁が崩れ、翌年は東西両ドイツが統一し、その翌年はあっという間にソ連が崩壊した。
振返ってみれば、この年は世界が変わったターニングポイントと言える時期である。
それはそれで面白く読めたのだが、興味深かったのは上記抜き書きの記者の言葉。
つまり、英語の「YES」「NO」と日本語の「はい」「いいえ」は違うということ。
英語は、相手との関係ではなく、事実そのものとの関係で「YES」「NO」を言う。
一方、日本語は事実そのものではなくて、相手との関係で「はい」「いいえ」を言う。
英語は事実関係を問題にし、日本語は相手との関係性を問題にする。
もしかしたら、これ、単なる言葉の問題ではなく、日本人と欧米人の事実との向き合い方の根本的な違いとなっているのではないだろうか。
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