魂は、あるか?/渡部昇一
私は自分が肌で実感した経験と、パスカルやウォレス、アレクシス・カレルなど、古今の偉人の生き方や言葉から、また私自身の言語学者としての見地から、数十年に及ぶ思索を積み重ね、その問いに対する答えを導き出しました。私の答えはこうです。
「魂はある」
「死後の世界は存在する」
「信仰は弱い人間の心の支えになる」
人は誰もが死ぬ。
例外はない。
そして、死後の世界があるかどうか、誰も見てきたものはいない。
著者は数十年、死について思索を続けてきたという。
死を考えることは、魂の存在についても考えることにつながる。
古来、人間は肉体と魂とによって成り立っていると考えられてきた。
そうならば、肉体の死で魂も死ぬのかどうか、死は、すべての消滅を意味するのかどうかも問わなければならない。
死と魂との問題は、人間そのもののあり方について問うこと。
著者はカトリックのクリスチャンである。
そして、「死後の世界は存在する」と明言する。
そして、死ぬことは怖くないと述べている。
事実、今年他界した著者をみとった息子さんの話によると、
死の床にあって著者は「自分ほど幸せな者はいない」と言い切ったという。
そして出会う人全てに感謝の気持ちを表し、死の直前まで取り乱すことはなかった。
それはある確信を持った者にしかあり得ない、見事な最期であったという。
著者は、魂の存在を信じ、霊魂は不滅だと考えれば考える程、また、死後の世界もちゃんと存在すると信じれば信じる程、自分の生きている日々に安心感が湧いてきたという。
どんな死に方をするのか?
その人の人生を集約した姿がそこに現れるのではないだろうか。
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