「学習する組織」入門/小田理一郎
「学習する組織」とは、目的に向けて効果的に行動するために、集団としての意識と能力を継続的に高め、伸ばし続ける組織です。
「学習する組織」の「学習」の語源をたどると、
「学」は、教えを学ぶ者(子)からできた文字であり、また、日本語の「まなぶ」は「まねる」と同じ起源を持つと言われている。
一方、「習」という字は、まだ飛べないヒナ(白)が繰り返し翼(羽)をはばたかせてやがて飛べるようになることを意味する。
したがって、学習とは本来、単にわかるだけではなく、繰り返しの練習を通じてできるようになることを指している。
学習する組織は、目的を達成するために、能力と意識を高めることで結果を出す。
またさらに高い目的を設定して能力と意識を高め続け、社会が求めることに対して組織や個人の潜在能力を最大限高めて応え続けようとする。
終わりなきプロセス、「道」を歩み続ける人たちの集団であり、社会の公器として企業価値を創り続けるとともに、その存在そのものを社員や地域コミュニティにとって価値あるものにしようと努力し続ける組織である。
そのためには、まずは目的とビジョンが重要。
組織の目的は、メンバーのやる気や主体性を引き出す源泉。
献身に値する目的があるか、メンバー間でその意味が共有されているかが学習の質に大いに影響を与える。
ビジョンは、できるだけ具体的に描くのがポイント。
その情景がリアルであればあるほど、自らを動かす原動力は強くなる。
端的に言えば、目的はおおまかな方向であり、ビジョンは(ある時点での)到達目標。
別の観点では、目的は「Why(なぜ)」の問いへの答えであり、ビジョンは「What(何、どんな)」の問いへの答えだと言える。
この2つは両輪となることでより強力に機能する。
ビジョンとは社会を変えるなどと大それたものである必要はない。
自分を奮い立たせ、現実に向き合い、行動する勇気を与えてくれるものであれば、それがビジョンである。
学習する組織では、トップだけではなく現場や中間管理職などにも多くのリーダーが生まれてくる。
学習する組織では、インセンティブなど外部からの刺激に頼るのではなく、内発的動機によって、たゆまぬ学習と共有ビジョン実現へのコミットメントを生み出す。
それが組織に不断の進化をもたらす。
そのためには、まず目的とビジョンを明確にする必要。
そして、これが出来ていない組織があまりにも多いというのが現実ではないだろうか。
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