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2017年10月31日 (火)

戦争の社会学/橋爪大三郎

Photo 北朝鮮は、原爆と、ノドン、テポドンを保有している。ノドンは中距離ミサイル。改良テポドンは、アメリカ全土をそろそろ射程に収めようとしている。北朝鮮がアメリカ大陸を核攻撃する能力をもったとたんに、ヨーロッパで80年代に起こったと同じ問題が起こる。だが、このことに気づいている人びとは少ない。

80年代と言えば、冷戦時代である。

この時代、アメリカとソ連、それぞれが核を持ち、けん制し合っていた。

ここでヨーロッパではソ連が西ヨーロッパを核攻撃した場合、果たしてアメリカは、核兵器で報復するだろうかという疑念が論じられた。

核で報復すれば、今度はソ連がアメリカ大陸を核攻撃して、ワシントンもニューヨークも地図から消えてしまう。

それはしのびないと、核のボタンを押さないのではないか。

同盟国が核攻撃されたとしても、アメリカ本土が核攻撃されない限り、アメリカは核のボタンを押さないかもしれない。

これは、核の傘につきまとう不安である。

80年代、こうした核戦略の脅威を背景に、ヨーロッパでは反核運動が盛り上がった。

よく考えてみると、日本も同じである。

日本には多くの米軍基地がある。

核攻撃される可能性が高い。

日本にも大きな被害が及ぶだろう。

そうしたとき、アメリカは核兵器で反撃するだろうか。

日米安保条約は機能するだろうか。

どういうことか。

北朝鮮が、日本を核攻撃するかもと脅せば、それが日米安保条約に対する疑念をうみ、政治的効果をもってしまうということだ。

日本人のあいだに、80年代のヨーロッパと同じような強い反核感情が広がるかもしれない。

歴史は繰り返すと言われる。

戦争を通じて、平和を考える。

戦争を理解して、平和を実現する能力を高める。

戦争も軍も、社会現象である。

社会現象であるからには、法則性がある。

戦争の法則性を理解して、リアリズムにもとづいて平和を構想する。

これが今、求められているのではないだろうか。

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