心を見透かす技術/レオ・マルティン
人間関係がうまくいかない理由として圧倒的に多いのは、各人が自分の視点に基づいて考え、行動している、という単純なことだ。
多くの人は、相手も自分と同じように物事を見ていると思い込んでいる。
だから、自分がしてもらいたいことを相手にやったのに好ましい反応がなかった場合、相手は変わり者と思ってしまう。
しかし、その相手は自分のことを変わり者と思っているかもしれない。
大事なことは一人ひとりみんな感じ方が違うのだ、と受け止めることだ。
相手が何を期待しているか、相手がどんなタイプの人間かがわかれば、腹を立てずに済むことは多い。
著者は人間を様々なタイプに分類している。
たとえば、ルーペタイプと広角レンズタイプ。
ルーペタイプは細部にこだわり、広角レンズタイプは物事を俯瞰してとらえる。
行動派と交際派と分析派。
行動派にとって大事なのは、今この瞬間。
十年後にどうなるかということは、行動派の思考の中では重要ではない。
行動派は現在を生きて、衝動的に行動する。
はっきりとした目標を持っていて、どうしたら達成できるかを知っている。
そして最短コースを選ぶ。
交際派は過去を引き合いに出すのを好む。
過去を現在に持ち出して、共通のよい思い出を生き生きと蘇らせる。
交際派が大切にするのは人間関係。
周りの人たちは交際派のことを、人の気持ちをわかってくれる温かい人とみなして、一緒にいて心地よく感じる。
交際派は人を押しのけて前に進むようなことはなく、むしろ自分の利益を引っ込めることもある。
ただし、人から利用されたと感じた場合は、がっかりして引き下がる。
争うことはなく、自分で傷を癒す。
分析派は典型的な〈公共放送〉タイプ。
数字、資料、確たる事実を重要視し、咄嗟の行動は得意ではない。
行動派を納得させるには、自信たっぷりに振る舞うこと。
挑戦的なくらいがいいかもしれない。
交際派の心を勝ち取るには、率直に向き合って、相手のために時間を取ること。
分析派が相手なら、数字や資料や事実を提供すること。
これ以外にも様々なタイプが説明されている。
これらを理解することが良い人間関係を築く基本だと言えよう。
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