徹底検証「森友・加計事件」/小川榮太郎
半年に及ぶ「安倍叩き」の間、安倍による不正、権力濫用の物証はただの一つも発見されなかった。
「もり・かけ疑惑」は国を巻き込んでの「冤罪事件」だったのである。
本書のサブタイトルは「朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪」となっている。
過激なタイトルだが、本書を読むと、そういってもおかしくない朝日新聞の異常さである。
「もり・かけ疑惑」は過去の政治疑惑事件とは性質を異にする。
ロッキード事件、ダグラス・グラマン事件、リクルート疑惑……。
すべて首相や、それに準ずる政治家を主役にした疑惑事件だが、政商が暗躍し、巨額の金が動き、報道も、真相究明に向けて総力を結集していた。
世を揺るがすほどの追及をするには、それだけの実態がなければならないことも常識だった。
ところが「もり・かけ疑惑」はこうした常識の全てを覆す。
「忖度」や「総理のご意向」という言葉ばかりが独り歩きし、安倍総理の関与を示す証拠は何一つ挙がってこない。
裁判であれば、これで有罪にするのは100%無理である。
ところが、朝日新聞を筆頭とするメディアが「怪しい」「納得ができない」ということだけで、疑惑の目を向ける。
虚報と忖度に基づいた、物証なき責任追及。
こんな茶番劇が国会やテレビのワイドショーの中で繰り広げられている。
衝撃的だったのは、国会の集中審議によって、はじめて、当事者自身の証言による加計問題の構造全体が明らかになり、前川喜平の虚言の殆どが暴かれた時の事。
スキャンダルとしての加計問題はこれで完全に終結したと私自身は思った。
ところが、国会での徹底究明を要求してきたマスコミ自体が、この暴かれた真相を全く報道せず、前川の発言のみを一方的に取り上げることに終始した。
一番の当事者である加戸守行前愛媛県知事の発言はほとんど報道されなかった。
これは醜い。
この日は「マスコミが死んだ日」と言ってよいのではないだろうか。
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