他人の思考の9割は変えられる/與良昌浩
「誰もが『変わりたい』という願望を心の奥底には持っていて、そこをうまく引き出していけば、上手に相手の思考を変えることができる」のです。
「過去と他者は変えられない」とよく言う。
では他者は放っておくしかないのか。
そうではない。
人は誰もが変わりたいという願望を持っているので、変わることができる環境を与えれば、相手は変わってゆくのである。
そして環境の中でも重要な位置を占めるのが、相手と自分とのつながりの質である。
これには5つのレベルがあるという。
レベル1は、顔を知っている。
レベル2は、気軽に会話できる。
レベル3は、真剣に悩みを話せる。
レベル4は、共通の目的を持っている。
レベル5は、共通の目的に向かって相互支援している。
相手を変える土壌が整っているかどうか、これに当てはめて相手との距離を測ってみるとわかりやすい。
「ああなりたい」「こうしたい」といった目的を理解して本気で応援してくれる人に、人は自然と感謝し心を開いていく。
では、どうやってレベルを上げていけば良いのか。
レベル1、2は通常の人間関係である。
しかしレベル3に上がるには、相手が「何に悩んでいるか」を理解する必要がある。
悩みを打ち明けてもらう必要がある。
では、どんな人なら打ち明けてもらえるかというと、多くの人は「誠実に聴いてくれる人」を一番にあげる。
したがってレベル3に上がるポイントは「傾聴」になる。
話を聴きながら相手の気持ちを想像して共感する。
レベル4に行くためには、その悩みを超えた先にある「目的」を知っている、しかも自分の目的との共通部分を見出す必要がある。
「どこを目指したい」「あの人のためにこんなことをしたい」といったことを互いに語り合い、理解しておかなければいけない。
そしてレベル5は、レベル4の思考の状態を超えて、相手の目的実現のため具体的に動いている状態である。
ポイントは、レベル2からレベル3、レベル3からレベル4に上がるところ。
前者では「傾聴」、後者では「語り合い」が重要となる。
つまりこれは「対話」である。
対話を通して悩みや目的の理解を深め、人間関係の土壌を耕していけば、お互いに刺激を与えたり、影響し合ったりして、人は変わっていく。
相手が変わる環境を提供するには「対話力」が重要ということではないだろうか。
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