労働者階級の反乱/ブレイディみかこ
EU離脱投票の結果を知った朝、わたしが一番最初に思ったのは、「この国の人たちは本当にやってしまう人たちなのだ」ということだった。いいにしろ、悪いにしろ、英国の労働者階級は黙って我慢するような人たちじゃない。必ず反撃の一手に出る。ものすごい暴挙でも、大それたことでも、彼らを怒らせたら、本当にやってしまう。
世の中には「まさか」が起こる。
近年最大の「まさか」はトランプの米国大統領選勝利と英国のEU離脱だろう。
両者とも、投票の前は真逆の予想が出ていた。
ところがふたを開けてみたら「まさか」が起こってしまった。
どうして予想が外れてしまったのか。
マスコミが事の本質を見誤り、表面的なことしか報道しなかったからである。
英国のEU離脱は「労働者たちの反乱」といわれるほど労働者階級の人々に支持された。
本書を読むと、白人労働者階級は、一般に信じられているような「感情的で動物的な人々」ではないということが分かる。
合理的にものを考える人々だ。
彼らは、自分たちの不満や喪失感に関心を持ち、気にかけてくれる政治家を求め、裏切られ続けてきた。
その結果が国民投票によるEU離脱の決定である。
いつも物事の本質はどこにあるのか、見極める目を持つことが必要だと考えさせられた。
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