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2018年4月23日 (月)

KPIマネジメント/楠本和矢

Kpi ある教育機関が、「いじめ」に関する各校や教師に向けた「通念的な指標」、つまり、その件数が多いほどペナルティになるという指標を、180度転換し、逆に多くの件数を見つけると「評価される」というKPIとした。それがどういう結果をもたらしたか。
 たったそれだけで、いじめの発見件数が 10 倍以上となり(今まで見過ごされていたものが顕在化したということ)、教師も生徒もその芽から摘んでいこうという「力学」が生まれたという。

KPIはKey Performance Indicatorの略称で「重要業績評価指標」と言われる。

ビジネスの現場で本当に大切なことは「誰もが簡単に理解できるロジカルな戦略を、いかに立てられるか?」ということではない。

「どこに視点を持っていけば、自社固有の勝てる戦略を作れるか?そのためにいかに深く考えるための方法や枠組みを持つか?」 ということのほうが、はるかに重要。

KPIは、単に経営マネジメント層が事業成果の上げ下げを確認するためのものではない。

「組織を動かす力学」として捉えるべきもの である。

例えば、教育現場では「いじめ」が問題になっている。

その場合、「いじめの件数が少ない事」をKPIにすると、組織の力学は「いじめを発見しない」ことに働く。

もっと悪く言えば「いじめを隠す」「いじめを見て見ぬふりをする」力が働く。

これでは逆効果。

いじめはますます増えるだろう。

では「いじめを多く見つけると評価される」ことをKPIにするとどうなるか。

恐らく結果としていじめは減るだろう。

大事なことは、何をやったらどうなるか、という「想像力」 を持つことにある。

KPIは、人や組織に与える影響力が強いだけに、1点と1点の関係でのみ物事を考えるのではなく、KPIという1点から複数の「点」と、そこから波及効果としてつながる「線」で考える必要がある。

「そのKPIがあることで、対象者やその周辺のステークホルダーがどう思い、どう行動するか」という、人間の本音の部分を想像しなければうまくいかない。

何をKPIとして設定すると、どのような組織の力学が働くのか?

そのことへの想像力を持つこと。

これこそがマネジメントと言えるのではないだろうか。

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