できる課長は「これ」をやらない!/安藤広大
モチベーションに関する上司の本当の役割とは何か。モチベーションを上げる手助けをすることではありません。部下のなかに、勝手にモチベーションが設定される状態をつくることです。
モチベーションを問題にする人は多い。
確かにモチベーションは大事だ。
モチベーションがアップすれば仕事の効率は上がる。
だからいかにモチベーションを上げるかをテーマにした書籍も多い。
モチベーションは仕事を頑張るための理由として使われている。
「社員のモチベーションを上げて頑張ってもらうのが会社の責任」ということが「常識」になっているようなところがある。
そうなると働く人たちは、「会社がモチベーションを上げてくれるから頑張る」となる。
それは裏を返せば、「会社がモチベーションを上げてくれないから頑張らなくてよい」となる。
つまり、「自分が仕事を頑張るには会社がモチベーションを与えてくれることが必要であり、モチベーションは仕事を頑張る理由として必要である」と認識してしまっているのである。
しかし、一人ひとりが仕事を頑張る理由として、モチベーションを求め出したらどうなるだろう。
一つひとつの業務について、頑張る理由を用意しなくてはいけなくなってしまう。
上司は、チームを勝利に導くという責任を負っている。
その責任を果たすために、部下に役割を与える。
ときには、部下にとってモチベーションが上がらない、つまらない仕事があるかもしれない。
しかし、それもチームの勝利のためには必要な仕事であるから、上司は指示をしている。
だから、部下に、すべての業務に対して「頑張る理由」が必要などという勘違いをさせてはいけない。
その組織にいることを選択し、その役割を与えられている以上、頑張る理由が見つからなくても、やらなければいけないのだということをしっかりと認識させなければならない。
仕事とはモチベーションが上がろうが下がろうがやるものだ。
「今日はモチベーションが上がらないから」と仕事をやらないことは許されない。
そして上司がモチベーションを問題にしすぎると、部下は仕事をやらない理由をモチベーションのせいにしだす。
これはマイナス効果でしかない。
上司はこれらのことを勘違いしない、させない、ことが大事ではないだろうか。
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